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店頭FXの出来高882兆円と建玉12兆円|市場規模を読み違えない|2026年9月版

マーケット分析公開:2026年9月2日文:マネーの羅針盤 編集部
店頭FXの出来高と建玉を統計から読み解くイメージ
本記事はマネーの羅針盤 編集部が執筆した一般的な情報提供です。統計の読み方の解説であり、特定の取引や商品を勧誘するものではありません。FXは差金決済取引であり、為替変動やレバレッジにより元本を超える損失が生じるおそれがあります。数値は金融先物取引業協会の公表資料に基づきますが、最新値は必ず公表元でご確認ください。本サイトはアフィリエイト広告(PR)を利用しています。

店頭FXの市場規模を語る数字は2つあり、意味がまったく違います。金融先物取引業協会の店頭FX月次速報2026年7月分では、月間の出来高が8,820,768億円、2026年7月31日時点の建玉合計は119,642億円。同じ市場を指しながら73.7倍の開きがあります。どちらを引くかで市場の印象が変わるため、2つの指標の役割と、統計を自分で確認する手順を整理します。

出来高と建玉は何が違うのか?

出来高は、その月に売買が成立した取引金額の合計です。1日のうちに同じ資金で10回売買すれば、その10回ぶんがすべて積み上がります。対して建玉は、月末という一時点で決済されずに残っている持ち高の残高を指します。期間中に流れた量と、ある瞬間に溜まっている量の違いです。

川にたとえてみます。出来高は1か月のあいだにその地点を流れた水の総量、建玉は月末に貯水池へ残っていた水の量です。たくさん流れた月でも、たまっている水が多いとはかぎりません。2つの数字が70倍以上はなれていても、どちらかがまちがっているわけではないのです。

Point

「日本の店頭FXは月882兆円の市場」と「店頭FXの残高は約12兆円」は、どちらも2026年7月の正しい数字です。フロー(出来高)とストック(建玉)のどちらを指しているかを添えないと、読み手に別の印象が伝わります。

2026年7月分の速報を数字で確認する

金融先物取引業協会は毎月中旬に店頭FX月次速報を更新しています。2026年7月分の更新日は2026年8月17日でした。同ページには、店頭外国為替証拠金取引の取扱会員数が2026年7月31日現在で46社、報告会員数も46社と記載されています。

店頭FX月次速報 2026年7月分の主要数値(金融先物取引業協会)
項目数値意味
取扱会員数46社(2026年7月31日現在)店頭FXを取り扱う会員の数
出来高8,820,768億円7月中に売買された取引金額の合計
売建玉39,191億円7月31日時点で売り持ちのまま残った残高
買建玉80,451億円7月31日時点で買い持ちのまま残った残高
建玉合計119,642億円売建玉と買建玉の合計

出来高の8,820,768億円は882兆768億円、建玉合計の119,642億円は11兆9,642億円です。速報ページの表記は億円単位ですが、同じページからダウンロードできる取引状況のデータファイル(XLS:350KB)は百万円単位で、7月の取引金額は882,076,835と記録されています。単位を確認せずに数字だけ転記すると、桁を取り違えます。

前月と前年で見え方はどう変わるのか?

1か月分だけを見ても、その水準が高いのか低いのかは分かりません。同じデータファイルには2008年11月分からの月次系列が入っているので、前月や前年同月とならべられます。

全通貨ペア合計の出来高と建玉の推移(協会の取引状況データファイルから編集部が算出)
対象月出来高月末の建玉合計出来高÷建玉
2025年7月1,165兆5,238億円8兆8,220億円132.1倍
2026年6月667兆5,553億円11兆1,266億円60.0倍
2026年7月882兆768億円11兆9,642億円73.7倍

2026年7月の出来高は前月から32.1%増えました。ところが建玉の増え方は7.5%にとどまります。売買の回転が上がった月でも、月末に残る持ち高はそれほど動きませんでした。

前年同月と比べると、2つの指標は逆方向に動いています。出来高は2025年7月の1,165兆5,238億円から24.3%減った一方、建玉合計は8兆8,220億円から35.6%増えました。出来高で見れば縮小、建玉で見れば拡大という景色です。片方だけを引用して「店頭FXは縮んだ」と書けば、事実の半分しか伝わりません。

倍率そのものが相場の温度計になる

出来高を建玉で割った倍率は、2025年7月の132.1倍から2026年6月の60.0倍まで下がり、7月は73.7倍へもどりました。倍率が高い月は、残高のわりに売買の回転が速かった月です。数字そのものより、この比の動きを追うほうが市場の性格をつかめます。

売りと買いの偏りは1か月で入れ替わる

建玉には売建玉と買建玉の内訳があります。2026年6月末は売建玉が全体の56.6%を占め、売り持ちのほうが多い状態でした。翌月の7月末は買建玉が67.2%となり、わずか1か月で偏りが反転しています。

通貨ペア別に見ると振れ幅はさらに大きくなります。米ドル/円は、2026年6月末に売建玉が43,079億円で同ペアの74.9%を占めていたのに対し、7月末は買建玉が65.1%へ切り替わりました。建玉は「積み上がった投資家の総意」ではなく、月ごとに姿を変える一時点のスナップショットです。

Data

2026年7月の米ドル/円は、出来高が729兆3,335億円で全通貨ペアの82.7%を占めました。一方で建玉は6兆2,748億円、シェアは52.4%です。同じ通貨ペアでも、出来高で測るか建玉で測るかで存在感が30ポイント違います。

通貨ペアごとの性格の違いは通貨ペアの選び方で扱っています。取引の頻度が高いペアと、持ち続けられやすいペアは必ずしも同じではありません。

Next Step

統計は自分でダウンロードして確かめる

協会のページからは、取引状況・主要通貨建玉・通貨ペア別取引金額・預託額情報の4ファイルが無料で入手できます。手元で前月比を計算すると、記事やニュースの数字を検算できます。

マーケット分析の記事を読む 本サイトはアフィリエイト広告(PR)を利用しています。統計の数値は公表元の最新版をご確認ください。

数字を引く3ステップ

取り違えを防ぐ手順は、次の3つ。

  1. 単位を確認する。速報ページは億円、取引状況のデータファイルは百万円で記録されています
  2. 出来高か建玉かを明示する。2026年7月なら882兆768億円と11兆9,642億円のどちらを指すのかを書き添えます
  3. 前月比と前年同月比を両方見る。7月は前月比プラス32.1%、前年同月比マイナス24.3%と符号が反対でした

4つのデータファイルのうち、預託額情報(XLS:83KB)は投資家が預け入れている資金の情報を扱います。建玉はポジションの想定元本であって預けた資金ではないため、資金規模を語るならこちらを見ます。証拠金がどのように管理されているかはFX会社が破綻したら預けた証拠金はどうなる?で整理しました。

店頭FXの統計に関するよくある質問

店頭FXの出来高と建玉はどう違いますか?
出来高はその月に売買された取引金額の合計、建玉は月末時点で決済されずに残っている持ち高の残高です。金融先物取引業協会の2026年7月分速報では、出来高が8,820,768億円、2026年7月31日時点の建玉合計が119,642億円で、73.7倍の開きがあります。期間中の流量と、ある一時点の残高という違いによるものです。
店頭FXの統計はどこで無料で見られますか?
金融先物取引業協会が「店頭FX月次速報」として公表しています。2026年7月分は2026年8月17日に更新されました。ページ上の速報値に加えて、取引状況・主要通貨建玉・通貨ペア別取引金額・預託額情報の4つのデータファイルが公開されており、取引状況のファイルには2008年11月分からの月次系列が入っています。
建玉の金額は投資家が預けたお金の合計ですか?
違います。建玉は保有しているポジションの想定元本にあたる金額で、投資家が実際に預け入れた資金とは別の数字です。預けた資金の規模は、同じ速報ページで別ファイルとして公表されている預託額情報で確認します。建玉と預託額を同じものとして扱うと、市場の姿を読み違えます。

2つの数字を並べて初めて市場が見える

2026年7月の店頭FXは、出来高882兆768億円、月末の建玉合計11兆9,642億円、取扱会員46社。前月比では出来高が32.1%増、建玉が7.5%増、前年同月比では出来高が24.3%減、建玉が35.6%増でした。どの数字も同じ一次資料に載っています。

市場規模を語る記事を読むときは、その数字がフローなのかストックなのか、いつ時点のものかを確かめてください。統計の出どころは金融先物取引業協会「店頭FX月次速報」で、誰でも無料で確認できます。為替そのものの水準を測る方法は実効為替レートとは?円の実力を測る3手順、取引の基礎はFXとは?初心者が知っておくべき外国為替取引の基本と始め方で扱っています。

羅
マネーの羅針盤 編集部
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